ボイストレーニング

AERA MOOK 勝間和代「まねる力」

AERA MOOK 勝間和代「まねる力」

 この本では勝間和代さんのボイストレーニングの経緯が述べられていました。広瀬香美さんによるレッスンです。また、姜尚中さんの声について述べている箇所があり、姜尚中さんの場合は知らず知らずのうちに習慣として身につけた声の技術があるようです。このような人は例外的で、普通の人は声の出し方が不十分な場合が多いと思います。
 ボイストレーニングは、簡単にできて汎用性があってリターンが大きいスキルだと感じています。僕は以前、テープレコーダー一台が完全に動かなくなるまで使い倒し、その成果は確実に表れました。例えば、Xの紅が歌えるようになりました。それと、いろんな場面ではっきり自己主張ができるようになります。その主張が成功するかどうかは、話す内容に説得力がるかどうか等、様々な要因があるとは思いますが、声にならない状態だと話にならないので、有効な一歩に成り得ると思います。時間的な投資はさほど大きくはありませんし、数ヶ月程度で目に見える成果が出ます。
 ボイストレーニングは、独学では難しい面はあります。逆に言うと、適切な手順を踏めば割と簡単だと感じました。専門家のレッスンを受けることは、最も適切な手段だとは思います。実を言うと、僕の場合は専門家のレッスンは受けていません。僕の場合有効だったのは、上野直樹さんの書いた本によるレッスン。
ヴォイ・トレ・マジック 5分間でいい声になる本 決定版

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 たとえば、割り箸を奥歯で噛んだ状態で声を出し、喉の開きを意識する。ペットボトルの中の空気を吸ってつぶすことで、腹式呼吸の感覚をつかむ。そうやって、道具の助けを借りることでボイストレーニングのやり方を、理屈抜きで覚えることができます。あとは、声や歌などを録音して、話や音楽の技術として磨いていくと、直接的なレッスンでなくてもなんとかなりました。
 それぞれの専門家の考えというのは、素直に受け入れてまねすることで、自分のスキルに役立てることができるものだと思います。最初に紹介した「まねる力」の中で興味深かったのは、福岡伸一さんの<「効率」も私たちを惑わせているんじゃないかと思うんです>というところから始まるやりとり。10倍効率というタイトルの本を書いてベストセラーにした勝間和代さんが、それに対してどう話題を展開してゆくところが面白かったと思います。
 世の中、いろんな人の人生があって考え方が違って、対立してしまいそうなことがよくあります。そんな場面で、対立したまま平行線で論争するのでもなく、相手の意見に迎合するのでもなく、目的に沿って話題を展開することは可能なのですね。それは難しいことだとは思いますが、ボイストレーニングで声がうまく出せない状態を避ける等、ひとつひとつリスクを低減させる訓練をするなどしていくと、成功の可能性が少しづつ広がるように思いました。