パーソナルマーケティングもやればできる

パーソナル・マーケティング

パーソナル・マーケティング

 勝間和代さんのライバルといえば、最近では精神科医香山リカさんというイメージかもしれませんが、勉強術本や仕事術本の著者という軸では、本田直之さんが最大のライバルという印象です。

「会社依存の時代」から「個人サバイバルの時代」へ(P.9)

 プロローグでは、「パーソナル・マーケティング」が個人に必要な時代になったことについて述べています。右肩上がりの経済のなかでは、会社のブランドが強く、個人のブランドはそれに付随するだけのもので、個人のブランドについて考える必要はありませんでした。しかし、現代では会社のブランドが頼りないものであり、個人が自分をアピールしてサバイバルしてゆく時代だと述べています。
 時代の変遷を裏づけるものとして、ビジネス書ベストセラーの変遷が述べられています。10数年前のビジネス書は、大企業の話がほとんどでした。しかし、近年は勉強本や仕事術本など、個人のスキルアップをテーマにした本が多くなっています。

 そして著者の多くは、勝間和代さんや私のような、企業の看板を背負わずに、もともと無名で、本を出すことによって存在を認知されるようになった人たちです。(P.13)

 僕は、この2人の本がベストセラーになった頃から、ビジネス書をいっそう多く読むようになりました。
 僕にとっては勝間本のほうがしっくりくるのですが、何冊も読んでいてそろそろ目先を変えたいと思ったのがこの本の購入動機です。これまでの印象だと、本田さんの方はどうもすっきりまとめすぎていて物足りない印象がありました。

周囲への貢献(コントリビューション)をつねに考えている(P.28)

 同時期に類似テーマの本を、多数ベストセラーにした勝間さんと本田さん。この本の内容も、結果的に先日の「やればできる」と被る部分が多いです*1。だから、この本も「まわりの人と夢をかなえあう」という観点で読むと理解しやすいです。

100×自分にとってうまくいったこと、その理由、キャッチフレーズ

 この本には「WORK」と名づけられた項目があり、「パーソナルマーケティング」を確立するための問題集となっています。「WORK」のなかでも手ごたえ大きいのは、自分の強みを100個書き出すという部分でした。作業量的になかなか大変な箇所ですが、やってみると面白かったです。
自分のやってきたことのなかで、まだ認識してなかったことが、これだけ沢山あるのかと思い、やった後はより深く自分の個性を意識できます。 

ライバル、ひきたつ、補完

 これをやり終えて思ったのは、人にはそれぞれ他の人が真似できない経験があるということ。それをお互い認め合っていきたいということでした。
 この本の内容はやはり、すごくすっきりまとまっているという印象。勝間さんと本田さんが、似た内容を本に書いていても、そこで現れるものはだいぶ違います。結果として、補完しあう内容の本になっていると感じました。それが「個人ブランド」としてそれぞれ個性的な一面の現れです。
 逆の観点で「個人のブランド」を考えることもできます。精神科医香山リカさんが、ビジネス本に登場するような効率重視とは違った観点のことを書いていても、本質的には「人が幸せに生きるためにどうしたらよいか」のための意見だったりします。また、精神科医としての経験から、ビジネスに関わる人が気づきにくい観点をもちこんでいるように思えます。
 ライバル的な反対意見も、お互い潰しあうものではなく、ある種補完して協力関係にもなり得ると感じます。だから、自分の周囲の人と接する上で気をつけることは、自分の個性(ブランド)について意識的であるとともに、苦手そうに思える相手とも積極的に話し合っていくこと、そこが大事と思います。