バベルの塔

生活や仕事の工夫に関する言葉というのは、昔からいろいろあったものだと思います。ライフハック等の言葉を好んで使うのはIT技術者の方々が多いようですが、製造業技術者の経験から思えば、そこで聞いた工夫に関する言葉がたくさん思いつきます、ホウレンソウ、カイゼン、段取り8分、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、見える化等です。製造業全盛時代の流行語も、歴史のうえではまだまだ新しいもので、武士道や般若心経などの古典だってライフハックなんだと思います。古典やライフハックというのは製造業どっぷりの僕にとってあまり馴染みがないので、細かいところで知ったかぶりになっているかもしれませんけど、人が生活して仕事をするということは、何十年や何百年経っても変わっていない面もあるように思います。

かつて同じ言葉を話していた人間たちは、天空に達する塔を建設しようとして神様の怒りを買い、それぞれ違う言葉で話すようになりました。有名なバベルの塔のお話です。それぞれの世代や業界の人が、それぞれいい工夫を考えていても、それぞれが違った言葉のままでは意思の疎通がとりにくいです。逆に言うと、そこを克服して協力すれば天空さえも越えられる可能性があって面白そうだと感じました。神様ごめんね。

なぜ僕が今こんなことを書きたくなったかというと、黒部第四ダム建設を描いた黒部の太陽というテレビドラマを見ようと思って楽しみにしているからです。昭和時代の建設技術者のことを思うといろんなことが頭に浮かびました。テレビドラマひとつ見るのに神様の話まで持ち出して大げさすぎだったかも。ともかく、ライフハックも昭和時代も古典も、どれもできればもっと理解してみたいと思っています。