学者の方によるエッセイかつ、近年のベストセラー―『思考の整理学』

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

 これもやや古い本ですが、さいきん書店でベストセラーになっていたことが記憶に残っています。
 ノート術など、近年のビジネス書で多く取り上げられたことに似た内容があります。あくまで学者の方のエッセイという観点で語られていることが面白いです。ですから、このを使ってビジネスの生産性を10倍にするライフハックを紹介しよう、という主張があるわけではありませんが、その観点で読んでも十分に参考になります。
 仕事に取り組んでいると、いろいろな年代の方と接する機会があります。少しの言葉の行き違いから、若い人の考えることはわからないとか、自分はひどく嫌われているのではないかとか、心配してしまう場合があるかもしれません。でも、こうした本から感じられるのは、年代が違っても、手書きのノートやカードだけでなくPCやスマートフォンなどの道具が登場して、パラダイムが変化したとしても、わかりあえる部分が必ずあるということです。
 僕も人の心配ばかりする状況でないですし、アドバイスする立場で考えるなどおこがましいのかもしれません。ただ、やや年配の自信なさげに見える人に会った体験が気にかかるのです。近所で火事があったら、助けたくなるような感覚と似た気持ちです。そんな体験を通じて、自分の考えもより整理できると思っています。