事業者サイドの役員と金融機関サイドの役員と実務担当者―『ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス』
- 作者: エリヤフ・ゴールドラット,三本木亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2002/02/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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事業者サイドから見て、自分が育てた事業には愛着があり、リストラや会社分割を行うときには断腸の思いがするのでしょう。事業者サイドの人間が自ら望んで、リストラや縮小を受け入れることは、ありえません。これは、一般論として納得がいく話だと思います。
しかしながら、事業者サイドだけのアイデアだと、今までの事業形態をベースにアイデアをコツコツ積み上げる、という方法だけで満足しやすいのかもしれません。金融機関サイドの見方はシビアで、ときにはそれを中断させようとします。冷たい仕打ちと思えますが、彼らもまた金融機関として責務を果たしているだけであり、事業者をやっつけることが目的ではありません。世の中の状況に応じて、会社を解体したり、多数の従業員をリストラしようとしたりする考えも、ある一面では妥当です。また、金融サイドの提案をきっかけに、より発展的な事業方針を見い出せる場合もあります。
両者は、お互いに知らない知識と経験があるので、そこをベースに連携することが重要でした。たとえば事業者サイドから見れば、業界の各社が開発力を強化しているかどうか、自社の人事や人材育成が機能しているかどうか、政府の方針やグローバルな経済の見通しなどと照らし合わせて事業に発展の可能性があるかどうか、などの理解です。それをベースにした話し合いがはじめられないのであれば、大きな利益獲得のチャンスを逃すことになり、事業者にとって不幸であるばかりでなく、長期的に見れば金融サイドにとっても不幸です。この本のストーリーでは、主人公の役員だけでなく、その部下の実務担当者のはたらきも見事でした。立場は異なっても、それぞれに重要な役割があります。
各々の立場から得た知識やアイデアを投げかけて、思考プロセスのキャッチボールを繰り返すことで、より大きな問題解決に至ることができます。やや出来すぎのストーリーですが、改めて勇気が湧く内容だと思いました。個人的には、これをきれいごとだと決めつけたくはないですね。
*1:カフェボッサ - 感想文|TOCの思考プロセスとハッピーエンドの提案 http://www.bossabooks.jp/cafe/review.html?id=4152&asin=4478420416