自分の考えに固執しない−『齋藤孝の速読塾』

齋藤孝の速読塾―これで頭がグングンよくなる!

　最近、文庫版も出たそうです（link:asin:4480426973)。
　タイトル通り、速読・多読のテクニックが満載であり、なおかつ速読・多読のメリットをしっかり考察している本です。タイトルだけ見ると、考察している部分がいまいち伝わらず、小手先のマニュアル的なイメージを抱くかもしれませんが、中身を見てみると少し印象が変わるのではないでしょうか。言葉の伝え方は難しいものですね。仕事や日常で関わる人たちと、お互い納得して行動してゆくために、僕も日々勉強中です。考察のひとつの例として、齋藤先生は視点移動ということについて書いています。

知性とは視点移動ができる「素直さ」である(P.43)*1
先入観や凝り固まった自分の考えに固執しないのが知性(P.43)

　「凝り固まった考えに固執するな」というフレーズを他人に向かって言う人のなかには、単純に自分の考えに相手を従わせて、偉そうにしていたいだけのこともあります。単にフレーズをコピーして発言していても、やっていることの本質が伴わないのようでは役に立たないようです。
　日ごろから自分の考えに固執しないために、様々な本を読むことは有用だと思っています。違う時代を生きた人の本や、ある出来事について賛成や反対の立場で考察している本を両方読むなど、多読をしていると齋藤先生の言う「視点移動」に役立ちます。それが僕にとっての日々の勉強であり、長年にわたり役立ってきたことでした。自分が視点移動できているかどうかの確認を、多読を通してできると思います。

*1:ページ番号は全て単行本版のもの