手段を目的化させないために―そもそもGTDとは

ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則

ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則

 去年の4月頃にGTDという言葉を知って、ブログにカテゴリーを作ったのですが、あまり触れてないですね。
 そして、いま初めてこの本を読んだのです。
 すみません。今までは肝心の元祖本を読まずに知ったかぶりをしていましたw

書き出してみるといい

 まずやることは3つ

  1. 頭の中の「やりかけの仕事」を全部書き出す。
  2. 次にとるべき行動をきめる。
  3. 信頼できるシステムでやるべきことを管理し、定期的に見直す。

 書き出すという作業は大事ですね。ひとつ前の記事*1で紹介した本にもこういう言葉がありました、

たとえば日常生活でも「忙しくてテンパっている状態」というときには「やることべきリスト」を書き出してみるといい。(単純な脳、複雑な「私」;P.383)

心の余裕と態度

 『ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則』はエッセイ集として書かれており、楽しく読めました。方法論などの解説は最重要点のみに絞られているため、実行するのは楽です。ウェブ上のGTD記事は、豊富なテクニックを紹介するものが多かったので、この本を読んで新鮮に感じました。
 忙しいときにもリストを書き出して、進捗を管理することが大切です。「目の前の作業が忙しくてそれができない」という言い訳が思うかぶかもしれませんが、それでは余計に忙しくなって心に余裕がなくなっていきます。

 仕事でも生活でも、私たちはみな、失敗するのではないかとか、うまくできないのではないかと思っていると、無意識に新しいものや良いものを遠ざけてしまう。(P.64)

 そういう思いが心を支配していると、新しいことに対応できないということでしょうね。著者が忙しいときに良い仕事の受注があったとき、「あーあ」と残念な気持ちが心に浮かんだそうです。そういう態度は、いずれ発注者に悪い印象を与える可能性があるとのことです。

慣習にとらわれていないか

 「新しいこと」については別の観点からの考察があります。

 昔の家と今の家も違う。現代の住宅において人が集まるところはどこだろう。そう、キッチンだ。メイドも使用人もいない今日、私たちはかつてとはまったく違ったライフスタイルで生きている。みんなが集まれば楽しい。という世界だ。キッチンはいまや料理をつくる場所だけではなくて、交流の場所でもあるのだ。最近できた高級レストランでキッチンを真ん中に据えているところが多いのもこうした理由からだろう。たまには自分の家を見直してみよう。(P.89)

 時代遅れの家では生活しにくいですね。
 忙しい毎日で目の前の作業をただコツコツこなすことは、慣習にとらわれた行動になる可能性があります。これを長く続けていたら、自分の考えや身の回りのことがいつの間にか時代遅れになって、疲弊してしまう危険があるのだと思います。
 豊富な話題を通して生活や心についての本質が描かれていて、著者の発想の豊かさを感じさせます。

テクニックから入る

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

 よく似た本ですが、こちらはテクニック集的なものです。テクニックの記述は複雑に見えますが、図解でうまくまとめられていて、とてもいい本と思いました。ただ、個人的には「はじめての〜」というタイトルに疑問があります。むしろ、『ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則』の後に読んだほうがいいと思います。なぜなら、GTDという方法で整理を行うことがよいという本質的な理由を、最初にわかっていたほうがテクニックとしては理解しやすいと思うからです。心の本質についての理解を忘れた場合、手段の目的化を招きやすいと考えます。
 ただ、新社会人などで業務の作業そのものに触れた経験が少ない場合には、こちらの本から入る方がいいと考えます。本質の理解は、業務に携わった経験がないと理解しづらいと思いますから。
 さて、自由な心で仕事や生活に取り組んでいきましょう。