僕はやる気を出すのが大好き、ではありますが

 僕はやる気を出して、めいいっぱい仕事などを頑張ることが大好きでした。そうやって仕事に取り組んで、成果が出て。技術や専門知識もいろいろ身につけて、「あなたの言っていることは確かに正しいのだから、何か言ってくる人がいてもひるまず主張しよう」というふうに言われて、応援してくれる人も多かったです。20代の社会人生活はそんな感じでした。
 ところが、それに対してよく思わない人が、一部にいるというのも事実でした。かつて、僕と一緒に仕事をしていたある人は、だんだん元気が無くなって、最後には異動願いを出していきました。それが、近年僕の行動に最も影響を与えた出来事です。その後、僕はうつ病になったりしていました。
 やる気を出して欲しいと思いつつ、僕が言ってきたことや行動してきたこと。それが本当によかったのか。いくら僕一人で直接扱う作業が、うまく進行したからといって、周りの人の協力があって業務が進行するのだから、反発する人に出会うことは避けたい。それが、近年僕のいちばん大きな悩みだったような気がします。

「やる気を出せ!」は言ってはいけない ~行動科学で見えてくるリーダーの新常識~

「やる気を出せ!」は言ってはいけない ~行動科学で見えてくるリーダーの新常識~

目的(A)行動(B)結果(C)

 たとえば、お客様からクレームがあった。そのクレームを上司に報告せずに隠しておいたら、バレないでうまくいった、怒られなかった。そのような行動で問題を解決した人は、ネガティブな人になる。
 逆に、少し我慢することや自ら問題を解決することで本人にとって良い結果を得た場合に、ポジティブな人になる。

 僕はポジティブの方が多いですね。怒られることも我慢できます。

ある目的(A)のために行動(B)をしたとき、結果(C)が望ましいものであれば人は同じ行動を繰り返そうとする。その行動によってメリットが得られる、ということを学習したからだ。

組織のリーダーは、メンバーの「行動」に目を向けなければならない。間違った行動は間違った結果を生むからだ。

 〜「やる気を出せよ」
 などという言葉ではなく、具体的にどのようにどのような言葉で伝えるかがリーダーとして重要なことなのである。
 

 とあり、望ましい目的にかなう結果が得られるような行動を促すことが大切だということが、本書の要旨と感じました。この本はあくまでリーダーが部下に対して行う発言などについて書かれているのですが、違う場面で活用することもできるような気がします。

科学という視点の導入

私の提唱する行動科学マネジメントは、行動分析学という学問がベースとなっている。 

 科学とは、実験再現性と検証性を備えたものでなければならない。
 平たくいえば、同じ条件下においては常に同じ結果が得られるということだ。A博士とB博士の実験結果が大きく食い違うようでは科学として認められないのである。

 と、科学的であることを強調している箇所があります。いわゆるビジネス書は、参考文献などが書いていないものも多いのですが、この本は参考文献がリストアップされているという点でも、科学的な感じがします。行動分析学の中身について、僕はよく知らないのですが、科学という視点で考えてみることの有用性はあるように思えました。
 「やる気を出そうよ」みたいなことを書かれた本も相変わらず大好きではありますが、科学的な視点も有効だと感じました。切り口は違っても「望む結果が得られるように行動しようよ」という方向に関しては同じだと思います。