中高生向け論理思考 

自分の答えのつくりかた―INDEPENDENT MIND

自分の答えのつくりかた―INDEPENDENT MIND

 著者の渡辺健介氏は、マッキンゼーという会社でクライアントへの提案を行っていたとのこと。最近テレビにもよく登場しれいる勝間和代氏と同じ会社の出身ですね。この本では、難解に思える論理思考を、サッカー好きの中学生である魚の少年がいかに身に着けていくかという、とても親しみやすい物語の中で説明されていきます。

「本書のしくみと主な登場人物」より抜粋
第1章では、日常生活における個人の問題解決を学ぶ。〜
第2章では、意思決定の礎となる人間的土台をつくる。〜
第3章では、さまざまな制約条件がある中で、いかに集団の問題解決を行っていくかを学ぶ。〜

 赤い魚の少年ピンキーは、サッカーがうまくなりたいと思い、隣国の中学へ留学します。留学先の決定ではマトリックスを用いた比較が登場し、留学先での学校生活ではピラミッドストラクチャが登場するといった具合です。
 第1章、第2章はすんなり円満解決という筋書きでしたが、第3章はなかなかハードなお話でした。赤い魚の国が、災害を受けて移住先の海をどこにするか決めるため、主人公が活躍します。しかし、いくら考えても決定的といえるほどの案には至りません。さらに、言いがかりも含めた様々な反発が、ピンキーに対して向けられます。
 世にあるいわゆるビジネス書では、論理思考してこうすれば円満解決ですよ、と簡単に書かれているものも多いように思います。しかし、実際の世の中は論理志向しても決定的に円満な解決が見つからないこともあります。いままで、そのような内容の本に対して少し不満に思っていたのですが、この本は中高生向けの親しみやすい文体でありながら、そのような厳しい場面をきっちりと描いていました。
 人は日々生きているなかで、様々な問題に出会います。夏休みの宿題で読書感想文などの身近な問題から、選挙国の政治を決めることまで様々です。考え抜いた答えを出せなかったら、人生が悪い方向に変わってしまうかもしれない。この本は、考え抜いくための心構えと、ツールについてしっかり書かれていたように思います。
 大人も子供も、宿題と向き合っているいま。考え抜くことの大切さについて、再認識させられる本でした。