反発を乗り越え 「残業なし」で「好成績」

 僕が直面してきた問題点とかぶる点が多くあり、体験と照らし合わせて考えてしまう内容でした。

はじめに反発

  • はじめに
    • この本でお伝えしたいこと
    • 「チーム術」発想の原点
    • ベンチャーなのに活気と無縁のオフィス
    • 全員6時で「強制退社」
    • 「自分しかできない」を徹底排除
    • 「育て合う」をしくみ化する
    • 「時間制約」がチームを変える
    • 業績悪化のときこそ「ワークライフバランス

 小室淑恵さんは、ベンチャー立ち上げの時期に妊娠と出産を経験したそうです。そのときに時間に制約がある中で成果を出そうとしたことが、チーム術の原点になっているとのこと。個人的な体験から考えても、出産後の人は短い時間で成果を出そうと本当に頑張っていることが多いです。そういう人と一緒に仕事をして、自分もしっかりやろうと思った体験がありますし、自分自身が残業をしないようにしてから成果が確かに上がりました。
 また、ここでは小室淑恵さんが反発に合ってきたことについて書かれています。たとえば、「仕事のメールを共有する」ということに対して、はじめは誰もが強く反発するとのこと。残業禁止で強制退社することについても、強い反発があったそうです。

存在を否定しない

  • 第1部 今、「チーム術」が求められている理由

(抜粋)

    • 2.今、チームを変えるべき「4つの理由」
      • 1.社会の変化 24時間働ける時代は終わった
      • 2.企業の変化 競争相手は世界規模に
      • 3.仕事の変化 「早く・安く・大量に」ではもう勝てない
      • 4.個人の変化 「出世に興味なし」のインセンティブ

 様々な変化について、納得できる内容として述べられています。詳細については本を読んでいただくとして*1、ここで僕が感じたことを紹介すると、人にいままでと違うことをさせるには、説得力が必要だということ。したがって、社会や業界の変化について情報収集したうえで、自分の意見としてはっきり述べることも重要と考えます。以前、この本でも登場する少子高齢社会の介護問題について、ユニバーサルデザインの研究*2 をするなかで情報収集をしていました。研究成果を発表するにしても、社会の動向などについての意見から伝えないと、研究内容も相手に伝わりませんでした。

”働く環境がこんなに変わった、という話ばかりしてきたので、これまで実績を上げてきたマネージャーの皆さんの中には、これまで実績を上げてきたマネージャーの皆さんの中には、自分の存在を否定されるような思いになる方もいらっしゃるかもしれません。”

 体験上、反発が起こるとすれば、それはかなり激しいものになる可能性があると考えます。上に引用した文は、さらっと書かれているようにも見えるかもしれませんが、人が「自分の存在を否定されるような思い」を抱くなんて、すごいストレスのはずです。そこで大事なのが、「メリットを伝える」ことと「情報収集に裏打ちされた論理」そして、根底に必要なのは「相手の存在を否定しない気配り」だと僕は感じました。

”実際のところは、これは価値観を変えるといった大げさな問題ではありません。変えるべきはマネージャーの役割の考え方と、それにともなう実際の仕事のやり方だけです。”

 相手にとってメリットがあり、十分実行可能なやり方であることを伝えるわけですね。

反発や不満の根底にある不安

 全体を通して、反発という言葉が目につくように思います。論理や気配りなど硬軟織り交ぜてメンバーに働きかけ、反発の背景にある不安を取り除いてチームを好成績へと導くことが、この本の要点だと感じました。相手の価値観を変えるような大それたことを人に要求するのではなく、考え方については自分の意見としてきちんと述べたうえで、実行可能なツールやメリットとして相手に提案するのであれば、人に受け入れられやすいのだと思えました。
 後半では好成績をあげる「ツール」が、具体的に紹介されてゆきます。詳細な前置きで前半のページを使いすぎたためか、単に仕事術の解説本としてみた場合、ちょっと説明不足かもしません。しかしながら、硬軟織り交ぜた働きかけによってチームを動かすという点について十分に参考になりそうです。

*1:さらに詳細な統計データや事例集は、こちらリンク先で紹介した本がおすすめです。自分がわかっていなかったことが、こんなにたくさんある - FDmountwill_millsの日記

*2:"論文-Cinii検索