人類学者と実験者
僕の社会人としての興味は、実務的な方面にほぼ100%向いていたと思います。目の前の案件を処理することに追われて、視野が狭かったかもしれません。
業務のイノベーションとサッカー - FDmountwill_millsの日記
上記のリンクで紹介したIDEOの本には、イノベーションをおこす人間のタイプとして、情報収集をするキャラクターが挙げられており、人類学者と実験者(および、花粉の運び手)と呼ばれていました。その人類学者と実験者の視点として、以下2冊読みました。
- 作者: 上田紀行
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/01/20
- メディア: 新書
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経済のグローバル化や、医療におけるQOL(クオリティオブライフ)など現代社会の状況を紹介しつつ、生きる意味について解き明かしていきます。社会の出来事や人間の行動について情報収集したり、説得力のある自説を論理的に展開したりするうえで、参考にしたい点がいろいろあります。また、熱い気持ちが伝わる言葉遣いも好きです。
- 作者: 一川誠
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: 新書
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人間の感覚の仕組み、錯視図形にみられる知覚の特徴、それに対する実験の結果などが紹介されています。実験において、最初に立てた仮説と違う結果が出ることもあって、その繰り返しでよ理解が深まるそうです。この本には身近でもできそうな実験が多く紹介されていて、興味深く読めます。錯視については、本の図表で実感することができます。何かを明らかにするための実験が、工夫次第でいろいろ行えるものだと思えました
そして、ここでも現代社会の問題に対する考察が述べられています。移ろいやすく不確かな反応を示す人間の知覚能力に対して、ひたすら効率的な業務を求めることは、ストレスかもしれない。そのように理解しました。
時間研究所の研究者の方々は、JR西日本の福知山線脱線事故が起きたとき、大変な責任感を感じたそうです。<研究者の自意識過剰かもしれないが、人間の時間的制約について、もっと世間につながるような情報発信ができていれば、このような事故を防ぐことができたかもしれない>という記述があります。実務的な社会に携わる僕の立場からは、先生方の研究成果や思いをしっかりと受け止めて、自分なりの行動につなげていきたいです。
人間の行動に対する理解や、工夫のうえで行った実験の結果というものは、人々の間で共有しやすいものです。それを積み重ねることで、自分がよりよい考えを持つことができたり、よりうまく人に考えを伝えられたり、考え方を共有してチームワークを生み出したり、いろんな手助けになるような気がします。