地方の雪、水、風土‐NHK大河ドラマ天地人感想

 北陸から新潟にかけての日本海側には、雪が多く降ります。そんな描写が、大河ドラマ天地人にもよく出てきます。その水が土地の恵みとなって、米などの作物が育ちます。機械技術や土木技術が未発達だった時代において、農耕に有利な土地であることは経済的に優位でした。戦乱などによってその潜在能力が発揮できない時代もあったようですが、上杉家や前田家のはたらきによって安定した社会と変化し、発展をしていったのだと考えます。
 時代は変わって、重工業が産業として出現した時代があります。この地方はまたもや水の恩恵をうけます。石油火力発電や原子力発電の無い時代において、水力発電所が発電にとって重要でした。だから、ここに電気を使用するアルミ製造の工場などができます。
 歴史を振り返ると、この地方は他と比べて優位性のある豊かな土地でした。仕事や社会について考えなくても、経済的豊かな基盤があるがゆえに十分生きてゆけます。おとなしく偉い人の言うことを聞いていれば、それなりの平和な生活ができます。
 仕事や社会について真剣に考えるのは、相応のエネルギーを使う作業です。人は楽をしたいと思いがちです。だから、平和にのほほんとやっていこうという考えに傾きがちです。それが、数百年かけて培われた、この地方の気質なのだと考えます。
 現在、数百年続いた優位性が消えようとしています。農業に従事する人口が主要であった時代は終わり、発電や工場の稼動についても他より優位とはいえなくなりました。今は数百年に一度の変革期にあたるのかもしれません。だから、「義」と「愛」を掲げて様々な困難に立ち向かう姿は、いまここで生活する僕にとって共感を覚えます。現在にも、同様に力強く立ち向かう人々がいて、明るい未来へと向かっているのだと、日々感じているからです。