ネーミング

 最近、翻訳書を読む機会が多かったのですが、ネーミングがいつも気になります。

イデアのちから(原書題名: Made to Stick―Why Some Ideas Survive and Other Die)

  • イデアのちからという題名は、キャッチーに理解できるという点はいいです。アイデアを出すのに悩んでいる人が、間違えて買ってしまうかもしれません。しかしながら、この本はアイデアを産み出す段階については述べられていません。あくまで、そのアイデアを"Stick"させて"Survive"させる段階について述べられています。そこで、<ちから>の内容をより詳しく説明し、『アイデア粘着力』のような題名でもいい気がします。

「経験知」を伝える技術―ディープスマートの本(原書題名:DEEP SMARTS―HOW TO CULTIVATE AND TRANSFER ENDURING BUSINESS WISDOM)

  • 本の内容とは合致しています。個人的には、”ディープスマート”という単語に出会ったときの印象を思うと、何やらミステリアスなものを感じましたので、そこが好きです。ミステリアスなドラマ性を強調して『「経験知」を伝承する技術』なんてのはどうでしょうか。

ビジネス・ゲーム―誰も教えてくれなかった女性の働き方(原書題名:GAMES MOTHER NEVER TAUGHT YOU―Corporate Gamesmanship for Women)

  • これは、見事な意訳と思いました。シンプルでキャッチーな形でありつつ、本の内容とずれたところもないです。僕には、付け加えるものは思いつきません。

急に売れ始めるにはワケがある―ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(原書題名:The Tipping Point)

  • いちばん悩ましいのがこの本の題名でした。原書題名はシンプルでキャッチ−と思えるのですが、残念ながら日本ではあまり馴染みのない単語です。出版当初と違い、現代の状況であれば「感染」という単語に人々の関心が高まっているはずなので、その単語と序文とを合わせ、『感染!―アイデアや行動が広がる劇的瞬間』

天才! 成功する人々の法則(原書題名:OUTLIERS―THE STORY OF SUCCESS)

  • The Tipping Point の著者、マルコム・グラッドウェルの新刊が気になっています。5月13日発売とのこと。キャッチーという観点からはいい感じの題名です。『感染!〜』というのは、この新刊の題名をヒントに考えました。OUTLIERSという単語から、抜きん出た成果を発揮する人、ぐらいの意味と思えるのですが、その日本語訳が単に天才でいいのか気になります。何か裏がありそう。

撃墜王の孤独(原曲題名:Aces High)

  • これはアイアンメイデンの曲名です。撃墜王というのは活躍した戦闘機パイロットを褒め称える言葉です。二次世界大戦の時代ならともかく、現代でそのイメージが浮かぶ人は少ないと思います。だから、この邦題はあまり定着しなかったのでしょう。洋楽の音楽雑誌やラジオ番組では、邦題と原題の比較はよくネタになります。