石の上にも10年、を伝える

「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)

「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)

 ディープスマートは、経験知や暗黙知と言い換えることができます。仕事の内容を他の人に伝えることは、ここ最近自分のなかの問題意識でした。仕事の引継ぎについて苦い体験をしたことがあったからです。そんなとき、この本は書店で手に取ったときから格別の手ごたえを感じました。やや固い印象があって、多少まとまった時間で真剣に読まないと理解できそうになかったので、いままで置いておきました。最近よく読んでいる勝間和代さん著書のなかで、繰り返し登場する本のひとつとしても、印象に残っています。
 この本の内容は、仕事でエキスパートの領域になるには10年かかるということ。それを他の人に伝えてうまく活用するのは困難があるということ。そして、その難しい行程を実行するための事例やアイデアなどです。一度で理解できるタイプの内容ではないので、今後実際に試しながら、繰り返し参照することになりそうです。
 かなり衝撃的な内容でした。ベストセラー系の本では、10年やらないとうまくできるようにならない、ということは直接的には書きにくいのでしょう。
 僕は、10代からBasic言語のプログラムにはまったり、パソコンの操作にはまったりしていました。大学でも、パソコンを活用する演習が山のようにありましたし、掲示板を通したインターネットのコミュニティに参加したこともあります。だから、僕がいまブログを書いているのもディープスマートかもしれません。あまり意識していませんでした。
 僕がいままで10年以上関わった理工系の知識にしてもデザインにしても、そういった技術を人に伝えて実行することが簡単にできると思い込んでいたふしがあります。その考えを転換する必要があるのと、自分の社会人での経験をより確かなディープスマートにしたいということ、強く感じました。