最大の成果を出して、その先の明るい未来まで行こう

最少の時間と労力で最大の成果を出す 「仕組み」仕事術

最少の時間と労力で最大の成果を出す 「仕組み」仕事術

 この本は単なるHow to系のビジネス本として十分優れています。チェックシートを使って、業務の手順を明らかにする。TO DOリストをつくって一元管理する。十分に有用なテクニックです。その点だけを真似しても、十分に仕事がスムーズになる場合もあるでしょう。
 しかしながら、中に込められたメッセージはある種別のところにあると思います。個人的な思い込みかもしれませんが、前書きにある ”空いた時間を将来の成長のために使いたい。” という言葉にこそ著者のメッセージを感じました。あとがきの、”空いた時間を、-人間が本当にやらなくてはいけないこと-アイデアを考えるなど、クリエイティブな仕事に費やすのです。” という文言にも同じメッセージを感じます。ただ単に目の前の仕事を効率よくこなすだけで終わりではないのです。
 また、印象に残った箇所として、”仕組みとは、「誰が、いつ、何をやっても同じ成果が出せるシステムのこと」” という見出しがあります。また、 ”いくら頑張ってもミスやトラブルが起きる確立をゼロにすることはできないのです、” という太字ゴシック強調部分があり、それに対応するための仕組みづくりだということが述べられています。
 これらの記述は、人によっては十分に受け入れられないかもしれません。「自分の仕事を効率よくやって、人を出し抜きたい」ということをプライオリティにおいている性格の人間ならば、誰でも同じ成果を出すのは面白くないし、人の失敗をあざ笑うのが好きかもしれません。でも、そのような考え方が蔓延したら、職場全体の業績が落ちて、その人自身も人を出し抜くどころではなくなります。
 単に効率よく業務を進めるだけでなく、明るい将来を目指して、お互いが協力して気持ちよく働ける職場を作るために、仕組みを利用したいと思いました。