動きに惹かれる気持ち,知的探求,そしてアート

動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ

動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ

序章 力学系を超えて
第2章 中間層の必要性
第3章 人工生命系
第4章 ブライテンベルグ再解釈
第5章 ダイナミカルなカテゴリー
第6章 コミュニケーション
第7章 意識/能動性/進化の問題
第8章 アート

“生命の構成論的な理解とは、生命現象を原子分子のレベルからつくることで理解する、という意味ではない。”(P.26:1 中間層とは何か)

“中間層を設けることの重要な点は、くりかえしになるが、適切な抽象化あるいは粗視化の行える点である。脳について考える場合もまた同じで、脳の中に出現する小人(ホモンクルス)は、もちろん存在しない。しかし、それを仮定することで、システムの動作がより適切に説明できるだろう。(P.32:1 中間層とは何か)

 <生命>と<意識>という複雑で謎に満ちた存在を、科学的に解き明かしていく本です。内容の理解は、僕には難しいものでしたが、実に刺激的でした。
 少し大げさかもしれませんが、日々の生活や業務の対応も、多くの要素(ファクター)から構成されている複雑系と考えます。、ひとつ業務を行うにしても、手間がかかりますし、未知なものに対する想像力が必要だからです。
 難しいもの、複雑なものについて思考し続けることは難しく、止めてしまいたくなることもあります。だからこそ、この本に登場するような、適切に手順を踏んで探求していく姿勢、ひいてはそこから導かれる<動き>に勇気づけられます。それは、一種の想像力に対する刺激でした。
 生命や意識の<動き>は、人の想像力を刺激するがゆえに、アートとしても成立します。第8章では『The Way Things Go - YouTube 』等のアートが紹介されていました。
 僕は、この本で紹介されているような「科学」については素養がないため、いまは素朴な気持ちを書き表すしかできませんが、想像力を刺激されましたし、新たにいろんなキーワードをインプットできたと思います。