人はそもそも善良であると信じられる

 またカフェボッサに感想文追加です。数年前に読んだ当時のことを思えば、これは自分の考え方が大きく変わったタイプの本ですね。勝間和代さん著書のように、最初から賛同して読めるタイプの本ではなかったです。

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

商品開発、調達、商品試験

エリヤフ・ゴールドラット博士のゴールシリーズ第3弾(日本版の発売順序では4番目)。今回の場面は商品開発のプロジェクトについてです。同時に、大学での教育に関することも取り上げられています。
 TOC制約条件の理論 (theory of constraints)を商品開発の現場で活用するプロセスについて、小説形式でストーリーが進行していきます。商品開発の担当者が登場して、プロジェクト短縮を目的として新たに学んでいきます。商品開発担当者が通う社会人向け大学院では、教員自身もまた悩みを抱えています。それらがどう解決されてゆくかがストーリーの軸です。
 個人的に印象に残った箇所のひとつは、大学院の授業で調達の担当者が登場する場面です。調達の担当者は、開発の担当者とは違う視点から業務に携わるため、開発の担当者とやや対立するような印象で登場します。開発の担当者は、なんでこんな部品を仕入れるのにそんな時間がかかるのかなど、いろいろ不満があります。調達の担当者は、開発の担当者が調達に必要な情報を知らせてくれないことが不満のようです。しかし、話し合っていくと、調達担当者は協力的になり、工夫して目標のために力を発揮してくれるようになりました。その場面が好きです。開発の担当者も調達の担当者も、人はそもそも善良であると信じられます。
 また、商品試験に関する場面も印象に残りました。商品のテストは、商品開発プロジェクトにおいて欠かすことができないものです。様々な新商品開発プロジェクトが進行していると、リソースがひとりの試験担当者に集中してしまい、身動きがとれなくなる場合があります。その問題に対し、連携して工夫して解決する仕組みが編み出されます。
 以上、あくまで本の内容です。このアメリカの本に登場していることからもわかる通り、世界中どこでも起こりうる問題だと思います。そんな場面に思い当たる方、読む価値あると思います。