黒部の太陽:後編

やはりいいドラマでした。人それぞれいろんな立場があって、仕事の現場では技術者がいて経営者がいて職人がいて、家庭では父親であったり息子であったり娘であったりします。また、年配の人がいて若い人がいて男性がいて女性がいて、それぞれの立場と人生があります。いろいろ違う立場でものを見ているがゆえに、お互いの思いが言葉でうまく伝わらない場面もいろいろあるのだと思います。

香取慎吾が演じた主人公の倉松について一貫していた行動は、多少の愚痴などはあるにしても、どんな目にあっても人を責めたりしないこと。上から目線で仕事をやらされて「ひどい目にあうのはいつも下の立場なのよね。」なんて言いたくなることがあったかもしれません。また、部下がストレスで参ってひどい行動をするようになって、「この裏切り者。」と言いたくなったかもしれません。でも、彼の口からはそれが出ないんです。上の立場にいる人も、その更に上の社長さんもすごい苦労をしてきています。また、ストレスで参ったら誰でもうまく行動できなくなってしまいます。そこまで理解できる優しさが彼にはあったような気がします。

そして、明るい笑顔や、力のこもった言葉で話す本音などは、協力体制に欠かせないものだと思いました。そうした人の意思によって産み出されるものは、偉大な自然の力にも劣らないほど美しいと僕も感じました。