何年間同じ思考に留まるつもりですか-【チーズはどこに消えた?】

チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?

  • 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 「いま、KYがナウい。ヤングにバカウケ」などと発言したとしたら、時代から外れすぎていておかしいと思われることでしょう。時代が変化していること無視し、さらに親切な人の言うことを無視するなど良識に反する行動をしていたら、まわりには誰もいなくなります。
 たとえ、会社でそれなりの実績をあげて、ある程度の出世をした人物であっても、いま必要なものをつくるだけの予算や人員をつかわない等、時代に合わない方針で行動していたら、確実にマイナスの評価になるでしょう。
 たとえば、5年前の部長が「これからの時代はつくるものがないから規模を減らしていこう。」という判断をして、仮にそれが当時において妥当だったとしても、同じことを現代で行っていたら、それは会社の経営に損失を与えてしまいます。たとえば、省庁やシンクタンクの出す資料から、明らかに今後の需要が読み取れる状況があり、同じ状況の他社すべてが明らかに積極的な活動に動いていることを無視して、強引な決め付けをする部長がいたとしたら、誰もがおかしいと感じるでしょう。経営陣や部下にも、それははっきりとわかるがゆえに、確実なマイナス評価になります。
 バブル期における風潮に感化されて、まじめに勉強することはかっこ悪いことで、へらへら過ごすネアカのトレンディな人物が好まれていたとして、その恩恵はいつまでも続きません。現代の経営陣や、氷河期以降の部下には、理解不能な発言と思われているそうです。

どのような行動をとろうと、
私たちみんなに共通していることがある。
迷路の中で、自分の道をみつけ、
時代の変化の中で、望みを成就せねばならないということだ。(P.3)

 変化を感じること自体は、とても簡単なことです。チーズは時間がたてば古くなるし、食べた分だけ減ってゆきます。しかしながら、常識を理解することは簡単ですが、言い訳をすることも簡単です。『チーズはどこへ消えた?』の物語のなかにも、もっともらしい言い訳を考えて、以前にチーズがあった場所から動こうとしないキャラクターがいます。
 動こうとしない人物は「自分は変化を考えるに値しない」という負け犬根性が染み付いているのかもしれません。迷路の先を歩むには、知識あるいは行動する体力そのものが必要になります。どうしても知識を用いることは難しいのであれば、まず行動してみることが大事かもしれません。消えたチーズのかたわらで、飢えてゆくよりも、先が見通せなくとも行動する方が、まだ生き延びる確率は高いように思います。
 『チーズはどこへ消えた?』はたいへん薄い本で、シンプルな内容ですが、考えさせられるところがいろいろある本でした。