自分がわかっていなかったことが、こんなにたくさんある

新しい人事戦略 ワークライフバランスー考え方と導入法ー

新しい人事戦略 ワークライフバランスー考え方と導入法ー

 昨日紹介した小室淑恵さんの本です。実は、少し前にじっくり読みたいと思って購入した本です。人事関係業務の専門書のように思われて、専門外である僕にはハードルが高すぎたように感じられましたのですが、今読むとじっくりと読むことができました。DVDでプレゼンを見たことがきっかけで、いままで意識していなかった部分がより見えてきたのだと思います。プレゼン技術の本において、小室さんのお手本プレゼンが示されていましたが、そこに出てきたデータがこの本にはより詳しく記述されています。ワークライフバランスの取り組みが、会社や従業員にとって、メリットをもたらすのだということが、データを活用することによって説得力のある主張になっています。
 僕は修士論文のときに人口動向の資料収集やアンケート調査などを行っていましたが、それを長年取り組んで実務に結び付けることについて、小室さんのほどの徹底はできていなかったと思います。僕にデータを取り扱う技術やプレゼンテーションの技術が足りないわけではなかったと思います。足りなかったものがあるとすれば、他人がそれを理解するのは難しいということ。だから、様々なデータを示すことや、他の人からのフィードバックを受けるというのは、僕がいままで思った以上に必要だったということです。周りの人と比較して、技術的にはわかっていることが多かったとは思いますが、ひとりでできることには限界があります。
 新しい提案のなかでも特に難しいものは、相手の側から見て提案内容に対する問題意識が薄い場合かと思われます。少子高齢社会やワークライフバランスについては、いまでこそマスコミ等でも取り上げられていますが、21世紀初頭の頃には、その提案にたくさんの壁があったのではないかと思われます。工学技術者としての僕の体験では、ユニバーサルデザインに対する提案や研究を受け入れてもらうことに難しい面もありました。年齢を言い訳にはしたくないのですが、当時20代であった僕や小室さんが、年長のベテランの方々に提案を行うということ自体にも、反発がある程度あったと思われます。
 僕が社会の動向について書かれたピータードラッカーの本を読み始めたのも、そういう状況を打破するために示するデータを収集することがひとつの目的つでした。この本では、各国の労働者の動向について簡潔にまとめられている箇所がありますが。小室さんも必要を感じて収集したのだと思われます。
 いま改めて思うことは、自分がやってきたことはより大きなスケールで発展可能不十分であったこと。たとえ周りの人からよい評価をもらっていても、本当にスケールの大きな動きに結びつけることまではできていなかったのだと思います。小室さんのように、そこまでやった人がいるということが、大きな励みとなりました。
 余談ですが、スケジュール管理のために小室さんが毎日行っていることが参考になりました。それは、今日やる業務の内容をメールに記述してチームで共有すること。業務などのスケジュールについて、エクセルや手帳に書き出して進捗管理するということ自体は僕にとって習慣化していますが。それを他の人に逐一知らせることは、いままでやっていなかったことでした。メールを送信するだけで、多くのことが変わりそうなのでぜひ実践したいと思いました。